Ⅰ 環境省により実証された成果
環境省が実施した「平成26年度エコチューニングビジネスモデル確立事業」により、平成26年7月から平成27年1月の7か月間で、下記の削減が実証されました。
対過去3ヶ年度平均CO2総排出量の7.5%削減
光熱水費に換算すると、379,036,378円削減
建物用途 | 棟数(棟) | 対前年度削減比率(%) | 対過去3ヵ年度平均増減比率(%) |
事務所 | 57 | 6.4 | 9.9 |
商業施設 | 6 | 5.1 | 7.8 |
ホテル | 9 | 4.1 | 4.5 |
病院 | 11 | 4.0 | 4.3 |
学校 | 4 | 6.0 | 8.0 |
その他 | 48 | 6.3 | 8.1 |
全体 | 135 | 5.5 | 7.5 |
光熱水費に換算すると
延べ床面積(㎡) | 棟数(棟) | 平均光熱水費削減額(円/棟) | 光熱水費削減比率(%) | 光熱水費削減額(円) |
3,000未満 | 7 | 231,518 | 7.5 | 1,620,626 |
3,000~5,000 | 25 | 906,524 | 9.7 | 22,663,100 |
5,000~10,000 | 30 | 2,203,088 | 12.7 | 66,092,640 |
10,000~25,000 | 54 | 2,911,972 | 8.3 | 157,246,488 |
25,000~50,000 | 15 | 6,301,868 | 6.3 | 94,528,020 |
50,000以上 | 4 | 13,721,376 | 8.7 | 54,885,504 |
合計 | 379,036,378 |
<参考>直近(2018年度から2020年度)のエコチューニング導入によるCO2削減効果
※エコチューニング事業者からの実践報告に基づき集計した数値となります。
実施年度 | 実施棟数 | CO2排出削減量 | 対前年削減率 |
2018年度 | 50棟 | 3,343トン | 3.02% |
2019年度 | 71棟 | 14,303トン | 9.51% |
2020年度 | 80棟 | 15,086トン | 6.28% |
2020年4月~2021年3月の間に実践した棟数は80棟であり、エコチューニングによるCO2削減量は15,086t CO2(1㎡あたり 4.88㎏)となりました。
また、光熱水費削減試算をすると、電力・ガス・水道の合計削減額は約8億1,400万円(1㎡あたり 260円)となります。(光熱水費の削減試算条件:電力料金20円/kWh、ガス料金130円/㎥、水道料金350円/㎥)
Ⅱ エコチューニングを導入した施設の事例
延べ床面積約30,000㎡の病院で光熱水費を約820万円削減
■実施したプロセス
①病院内の設備機器の運用改善を診断・分析
⇓
②外調機の運転時間の見直し方針を決定
⇓
③外調機の運転スケジュールを変更し、外調機34台中15台の運転時間を25%削減
⇓
④電力の大幅削減に成功!
・1日当たり電力削減量:147.6kWh/日×15台=2,214kWh/日
・5ヶ月間の削減額:2,214kWh/日×147日×20円≒6,500,000(※1kWh=20円換算)
⇓
⑤その他の施策と併せて、設備投資なしで約820万円の削減に成功!
エコチューニング対策項目 | 削減コスト | |
1 | 冷房時の冷温水発生機の冷水温度設定を変更 (7℃から9℃に冷水温度を上げる) |
185,000円 |
2 | 冷房時の冷却水ポンプ(定格出力55kW)のインバータ設定を変更 (60Hzから45Hzに回転数を低減) |
522,000円 |
3 | 暖房時の外調機及び加湿器(電極式蒸気発生器)の運転時間の削減 (運転時間を25%削減) |
6,481,000円 |
4 | 冬期の冷温水発生機の温水温度設定を変更 (55℃から50℃に温水温度を下げる) |
1,025,000円 |
合計 | 8,213,000円 |
Ⅲ エコチューニングのノウハウに基づく事例
<1> 冷水送水圧力、インバータ下限周波数、バルブ開度の調整の事例
■事務所と工場併設の建物施設において、
・冷水送水圧力の変更: 0.6MPa ⇒ 0.5MPa
・ポンプのインバータ下限周波数の変更: 45Hz ⇒ 40Hz
・バルブ開度の調整:50% ⇒ 100%
➡ 年間削減電力量60,000kWh、削減熱量600GJ、コスト換算で800,000円削減
<2> 高効率熱源の優先運転の事例
■大きなエネルギーを使用する冷凍機において、
・夏季のみサブで使われていた高効率熱源をメインとする運転に変更
・各冷凍機の冷水出口温度の変更: 5℃ ⇒ 6℃
・冷却水温度の設定変更: 25℃ ⇒ 20℃
➡ 年間削減電力量289,000kWh、削減熱量2,800GJ、コスト換算で4,000,000円削減
<3> 2台の空調機が1台で済むようになった事例
■イベント等を開催する大ホールにおいて、
・2台の空調機をフル稼働から、「ホール全体使用時」「舞台のみ使用時」「客席のみ使用時」に合わせた運転パターン化
➡ 削減熱量171GJ、コスト換算で389,000円削減
<4> 吸排気ファン外気量の削減の事例
■商業施設の店舗内の空調において、
・過剰だった外気量を削減するため、36台中10台のファンを停止
➡ 年間削減電力量31,700kWh、削減ガス量13,000N㎥、コスト換算で1,516,000円削減
Ⅳ その他の事例
<1> ESG経営に取り組む企業のビジョンに貢献できた事例
■大手メーカー企業において、
・「ESGは企業の価値」として、カーボンニュートラルに向けた長期ビジョンを設定して取り組みを行っているメーカー企業が、ビジョン達成の手段としてエコチューニングを導入した事例があります。
同社のビジョン達成に向けて、日々、エコチューニング事業者との協働が行われています。
<2> テナントにとっての施設の価値を高めた事例
■ビジネス、ショッピング、劇場などが共存する施設において、
・ビジネス棟に入居するテナントの多くがESG経営を重視しており、各々のテナントが目指すカーボンニュートラルを実現するために、施設側がエコチューニングを導入したことにより、テナントにとって施設の価値が高められた事例があります。